マリンランプから能登の海洋灯(まりんらんぷ)へ
マリンランプから能登の海洋灯(まりんらんぷ)へ
いつもお世話になっている日本いいもの屋さんにインタビューを受けました。
マリンランプから能登の海洋灯(まりんらんぷ)が生まれるまでをとっても上手にまとめてあるので、
全文掲載させていただきます。
フネノデンキヤと言うブランド!?
今回はフネノデンキヤさんを訪ねて能登半島の北端、石川県の輪島にうかがってきました。
輪島といえば「輪島塗」が有名で当店でも輪島の漆器もお取り扱いさせていただいております。
その輪島塗だけでなく海に面した輪島では漁業も盛んで美味しい魚介類も沢山食べることができるんです。
そんな漁業が盛んな輪島では船舶関連の業種も多く、こちらの「フネノデンキヤ」は船舶の電機工事本業とする「日東電機」の代表沖崎さんが立ち上げられたブランドなのです。
潮目の変化
船舶の電機を専門とする日東電機では船の数と仕事量は比例します。
輪島塗りで有名な輪島でも地域が抱える問題である人口減少は同様にあり、
特に若い人が出て行くことで当然ながら漁業に従事する人も年を追うごとに減少してきました。
それでも春~秋は良いのですが、漁が減る冬には仕事がめっきりと減ってしまっていました。
その冬の期間を活用すべく新たな事業の構想をはじめました。
船舶の電機を専門とする日東電機に何ができるのか?
そこから船のでんきやの試行錯誤がはじまりました。
“よそもの”の目
よく言われることですが、日常的に接する「もの・こと・ひと」は当たり前になっていて、
その素晴らしさに気づけないことがあります。
一般的に職人さんは自身で販売することを苦手としています。
それは日常的に使っている本当は素晴らしい技術を当たり前ののことだと考えて、ことさら伝えることをしないからです。
またそこからできあがる商品も職人さんにとってみると普通のものだったりします。
フネノデンキヤさんの例で言うと「船舶照明器具」がそれでした。
船に日常的に当たり前につけている船舶照明。特に珍しくもないもので、「これは船につけるもの」と考えてました。
けれど沖崎さんの奥様が共に仕事をすることなったとき、この器具を見て「これ可愛いじゃない」と言ったとき初めて気づいたのです。これは一般の人にとっては「良いもの」なんだということを。
沖崎さんが興味深い話をされていました。
「船舶照明をB to B で販売していこうとしていた当初の話なのですが、漁業関係の方がご自宅を新築されたので船舶照明を玄関先につけることを提案してみたのですが、すごく怒られました。。」
「そんな船につける作業灯を家につけるわけがないだろう!!」と、、、
同じものでも誰がどんな目線で見るかでこんなにも感じ方が変わるのですね。
おそらく奥様の「よそものの目」がなければフネノデンキヤは生まれていなかったのだと思います。
その後、船舶照明器具を今までとは違った形で事業の柱とできないか考え始めました。
不慣れな“ものづくり”
船舶照明を玄関先など建物の周りで使ってもらうべく営業を始めました。建築会社、設計会社、デザイン会社へDMを送るなどしてまずは従来から行ってきたB to Bの仕事からでした。
この場合はB to Bであること、そして製品は今まで扱ってきたものをそのまま使うため先の例を除いてはそれほど問題なく進みました。
DMを送った先のいくつかの会社とは継続的に取引も続いているそうです。
次に取り組んだのは自社のオリジナルブランドを作りB to C での仕事でした。
今まで船舶の電機工事を中心として行ってきた沖崎さん。
やはり、そう簡単にものづくりができるわけではありませんでした。
まずは船舶の照明器具を使って何を作れるか。
様々アイデアは出しましたが、やはり極力ホンモノの器具をそのままの形で生かした商品が良いと考えスタンドライトを作ることになりました。
デザインも沖崎さんご自身で考えられたそうですが、なかなか納得のいく出来になりません。
また例え完成したとしてもどうやって販売するのか?販路は?価格は?などなど課題は山積みです。
課題を解決する方法
船舶電機工事を本業とする沖崎さん、冬の間は時間がありますが、それ以外の時期にはどうしても身動きはとりづらくなります。
そこで商品開発などの自社で足りない部分は外部の人に手伝ってもらう方法をとりました。
そのとき同じ能登半島のデザイン会社「能登デザイン室」さんと出会ったことをきっかけに「フネノデンキヤ」ブランドは一気に形になりました。
共にブラッシュアップしマリンランプスタンドは現在のデザインに、販路についても「能登デザイン室」さんが様々な展示会などを持ってまわってくれたおかげで広がりました。」と沖崎さんはいいます。
デザイン、伝え方、見せ方、ここにもやはり客観的な外からの視点が必要であり、そんな意味でも能登デザイン室との出会いは販路を広げるという意味だけでなくフネノデンキヤをひとつ上のステージに進むために大きな意味があったのではないかと思います。
新しいことを始めるということ
輪島には古くから何百年と続く伝統行事が数多くあります。歴史と伝統があります。
輪島塗にはある種の威厳すら感じる、日本で言うとTHE 漆器という地位にあります。
それはつまり古くからのものを守り続ける保守的な地域ともいえます。
その中で新たな事にチャレンジするということはとても勇気がいることであり、少し間違えば白い目で見られかねないことなのです。
実は沖崎さんもUターンで輪島に戻ってきた人です。外から輪島のことを一度見ている。
“都会”にはあって、輪島にはないものは沢山あります。ただ輪島にはおそらく世界中見てもここにしかないものもあります。その両方を知っている人だからこそ取り組めるチャレンジなのかもしれません。
私たち日本いいもの屋としてはそんなチャレンジするものづくりをこれからも一層応援していきたいと考えを新たにする貴重な機会をいただけた取材訪問となりました。
沖崎さん、そして奥様、快く取材訪問にご対応いただきどうも有難うございました!
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