船のでんきやの旧店舗が解体されました

2025年10月、船のでんきやの旧店舗が解体されました。
50年以上に渡り苦楽をともにしてきたので、まさに感無量。。。
言葉になりません。
旧店舗の想い出
それでも現在は、仮店舗でマリンランプの販売は続けております。

漁師町の便利屋がはじまり、父の先見の明⁉
弊社は「昭和26年頃から地元の漁船にバッテリーを販売したり発動機を修理していたのがはじまり。」と先代の社長である父に聞いていました。
父は漁師の家の次男に生まれ若い頃は実家の漁船に乘っていたのですが、肺結核にかかり長期の入院を余儀なくされ漁師を断念しました。
その療養中にいろんなことを勉強したらしく、退院後は無理のきかない体になりながらも漁師だった経験を活かして漁船の修理をはじめ、
もともと手先が器用な方だったの近所の家庭での困りごとにも気軽に対応していました。
日東電機工業所
その頃この町には、バッテリーの販売を専門とする金沢の会社の支店として「日東電機工業所」という店がありました。
本社から出向された方が経営されていたのですが、父をバイトという形で雇って商売を広げていったということです。
後にいろいろな事情から経営者の方が金沢へ戻らねばならなくなり、父に店を譲りました。
こうして父が「日東電機工業所」の社長になったのです。
ただ、なにせ田舎のこと当時は戦後のドサクサではっきりした資料が残っていませんが、平成元年に法人化し現在の名称になりました。
嫌なことから逃げても碌なことにはならない!
後継者としての苦悩!?
私はそんな「日東電機」の長男として生まれ、家業を継ぐことが暗黙の了解のように育ってきました。
ただ、手先もそれほど器用でもなく行動的でもなくどちらかと言えば家で本を読んだりするのが好きないわゆる内向的な性格でした。
数学や物理が苦手で、「何かをやりたい!」という特別なことも無く自分を束縛しているように感じた“家”や“田舎”から逃げ出したくなって大学進学の道を選びました。
それも“家”への反発からか畑ちがいの文系の学校へ進みました。
「自分磨き」を意識して
在学中は、何かの本で読んだ「何もしたいことが見つからないなら、今はとにかく自分を磨きなさい!」とう言葉に啓発されて、
様々なバイトをしたりいろいろな人に出会い話を聞き、とにかく「自分を磨く!」ことを意識しながら過ごしました。
卒業間近かになって今までバイトしてきた中のある会社にお世話になろうと決めて、その会社の入社試験まで受け合格の通知をもらいました。
そんなとき、父が若い時の肺結核の後遺症から肺気腫になってまた長期入院することを聞かされました。
嫌なことから逃げても碌なことにはならない!
就職の報告と父の様子を見に帰郷した時のこと、今まで進路について何も言わなかった母が
「父はこれから人工呼吸器を離せなくなる。貴方は長男なんだからこの店の将来のことも考えてください。
この仕事をよく思っていないのもわかるけれど、貴方にしかできないこともある。嫌なことから逃げても碌なことにはならない。
後で必ず自分の身に降りかかってくるのだから・・・」と言われました。
「自分しかできないこと」の決断!
家業を継ぎました。
それからもう一度よくよく考え、内定をもらっていた会社へも謝りに行きました。
大学を卒業後、家業を継ぐために魚群探知機や無線機等を製造販売する会社に就職し昭和63年に帰ってきてこの仕事をするようになりました。
魚群探知機や無線の修理に関しては一通りの技術は習得してきたつもりでしたが、
「船のでんきや」の仕事は奥が深く発電機などの取付技術は輪島に戻ってから必死に勉強しました。
船に故障があると夜中であろうと時間に関係なく連絡が入ります。
私を頼って連絡があるので眠いと言ってはいられずすぐに駆けつけ何とか出漁できる状態にします。
漁師のお客様の「ありがとう!」の一言を聞いた時この仕事をしていて本当に良かった思います。
海事功労者
この仕事について30年以上が経ちますが、数年前、海上保安庁より「海事関係功労者」という大変名誉ある表彰をいただき今後の励みになりました。

フネノデンキヤの新たな可能性に向けて
船のでんきや日東電機へ
ここ輪島港は日本海の突き出した能登半島の外側に位置するため、毎年冬場になると海が荒れてなかなか出漁できない日が続き船の仕事が激減するのが悩みの種でした。
20年ほど前までは、この期間を利用して船体(木造船が主流だったため)の補修や、漁労器具や航法機器のメンテナンスを行っていましたが、どんどん船体もプラスチック化され器具や計器も進化し壊れにくくなってきて、ますます仕事が減ってきていたのです。

この冬眠期に何かできることはないものか?と考え、そこで思いついたのが以前から興味のあった照明のことでした。
以前の記事でも書きましたが漁師町の便利屋がはじまりの日東電機のこと、「この部屋の電気つけかえてよ。」といった仕事を依頼されることがよくありました。
「できるだけ明るくて安いのでいいわ!」と必ずといっていいほど念をおされます。
それだけ照明に関心をもっている方は少ないのです。
たまに自分でカタログを持ってきて「この器具をつけて欲しい」と指定されるお客様もいますが、ほんとうにまれなことです。
もっと皆さんにも照明のことに興味をもって欲しいと以前から思っていました。
自分のお気に入りの照明をつけて過ごす時間、どんなに疲れていても夜そのあかりの中でリラックスする時間を持てば明日への活力が沸いてくるのではないでしょうか?。。。
画一的なデザインの照明器具ではなく、個性的であなただけの『灯り』を見つけたいと思いませんか?
私はそんな仕事がしたいと思いつきました。
そこで当社の取扱商品である船舶照明器具を家庭や店舗のインテリア用品としての活用を思いつき、
多少のアレンジを施し「マリンランプ」としてホームページを自分で作成したりブログやSNSを利用して発信しました。
「はじめてのインターネット」を意識したのが10年ほど前、Windows90が出てインターネットが身近になった頃でした。
いろんな情報をパソコンを通じて知ることができる!画期的なことだと思いました。
同時にこんな田舎のちっぽけな店が世界に情報を発信することができるなんて想像しただけでワクワクしてきました。
ホームページを通じてはじめてお取引をしたお客様は、東京麻布十番のオープンカフェに「イカツリランプを設置したい!」という設計士さんでした。

以前から取引先の船舶電球メーカーには、イカツリランプでも陸上でも使用できる100Vの商品があるとの情報を調べてあったので、すぐに発注し無事納品することができました!
それからもインターネットを通じて様々な出会いがあり、お陰かげ様で今では全国津々浦々から注文をいただいております。
もちろん良いことばかりではありません失敗も数多くやってきました。
それでも前向きにいろいろなことを吸収して「自分にしかできないこと!」はどんどん広がっていきました。
私は「自分しかできないこと!」に出逢えたラッキーな人間です。
もしこの記事を最後まで読んでいただいて「自分にしかできないこと!」を探している方がおられるならもう一度自分を見つめないしてください。
必ず貴方にも「自分にしかできないこと!」があるはずですから。。。

震災で狂った人生設計
これから体が言う事を聞くあいだは、この仕事に誇りをもって続けていこう!
そう思って頑張っていたのですが
2024年1月1日
あの能登半島地震で被災してしました。。。

輪島港の海底が隆起して漁業ができなくなって、漁船が動かず仕事もほぼなくなったのです。
それでも少しずつ気持ちを立て直していた時、今度は豪雨に襲われました。
2024年9月21日
近くの川が氾濫し、自宅は2㍍近くの高さまで浸水しました。
1階にあった家財道具は全て泥に漬かり
「地震で折れかけていた心が本当に折れた。もう、仕事はやめようと思った。」のが本音です。
やわやわと復興中!
落ち込んで自暴自棄になっていた私に
泥出しに訪れたボランティアさんは皆さん「頑張ってください!」と声をかけてくれ、
漁師のお客さんには「おまえがおらんと困るわ」と言われました。
そんな周りの人の言葉は、一筋の光のように私の心を照らしてくれました。
漁業の先行きが見通せない中でも、もう1度、頑張ろう!と決心させてくれました。
港近くの旧店舗は半壊で使えなくなっていたので
クラウドファンディングで応援していただいたお金で
中古の軽ワゴン車を購入し、修理道具など一式を積み込んで仕事をするようになりました。

トレーラーハウスは、事務所兼マリンランプの展示・販売場所として昨年12月に設置しました。
東日本大震災で被災した仙台市で会議室として使われていたもので、取引先を介して知り合った会社社長が無償で譲ってくれたのです。
マリンランプを日東電機のホームページで見るだけでは飽き足らず、
関東や九州など遠方から足を運んで来られるお客さんもおられるので
とりあえず定休日は設けておりません。毎日10時から19時までの営業としていきます。
ただし、人間なのでどこかで「疲れた~」となるかもしれません(笑)
それまではやわやわと頑張っていきます。
マリンランプショールーム「Lighthouse210dk」
「広い海で迷子にならないように
暗い海で淋しくならないように
波のような灯りで
優しさと笑顔を照らし続けたい」
そんな思いで船のでんきや日東電機の仮店舗…
マリンランプのショールームを
地震と水害の被害に遭ったこの場所に再建し
「Lighthouse(灯台)210dk」と名づけました!

ショールーム見学ご希望の方への注意事項
ここにしかないマリンランプのショールームは、
まだ完全とは言えませんが現在も営業中です。
ただ、港での修理仕事や所用で外出していることもありますので
「マリンランプの本物を見たい!」と思う方がおられましたら
事前に こちら からメールか電話でお気軽に連絡してください!
こんな時だからこそ、心豊かに楽しく「ホッとする時間」を
皆さんにご提供し、一緒に過ごしたいと思っております。
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